苦しいときにはこれを聴け! part1

私のメンタルヘルスに役立つ音楽特集

寝込むほど体調が悪いとき,大抵の音楽は聴けなくなる.
しかし世界には無限に曲があるので探していれば,キツくても聴いていられる曲と出会えるかもしれない.
そしてそのうちいくつかは私の苦しみを緩和してくれた.
ここで取り上げる曲たちがお前の体調に有効なはずはないが,私には有効なので臨終のときにかけといてほしい.


Antônio Carlos Jobim "Inédito"

ジョビンが金に糸目をつけずにつくったスタジオアルバム.とにかく録音がいいのでチルできる.
収録曲の内容からして,実質的にセルフカバーのベストアルバムといえる.
まず1曲目の軽快なリズムが,鬱を和らげるだろう.そして中盤からのバラードは心地よく眠気を誘ってくれる.
中盤にはHeitor Villa-Lobosやchoro,それにショパンなどの伝統的な音楽をジョビン流に昇華させた作品が固まっている.
それらの作品を真面目に聴けばすぐにわかるのは,ジョビンは単なるbossanova作曲家ではないということだ.
彼は現代音楽の作曲家といえるほどの作品残した.(ホントはそういう肩書きはどうでもいいんだけども)


Miles Davis and Quincy Jones "Miles & Quincy Live at Montreux"

クインシーが死にかけのマイルスにギル・エヴァンス名曲たちを演奏させたライブ企画の録音盤
心地の良いビックバンドジャズで,しかもシナトラのように甘ったるくないのがちょうどいい.
普段のマイルスのステージは,緊張感でこっちの身体まで強張ってしまうが,このライブではその限りではない.
マイルスはミスやハイトーンの掠れにイラつくこともなく,隣席の弟子とヘラヘラふざけながら演奏しているのだ.
和やかでリラックスした雰囲気の演奏を聴いている,こっちの憑きものまで落ちてきそうだ.
クインシーが指揮で場を仕切っているからこそなのだろうか.
映像で楽しそうなマイルスの様子を見ておくとこっちまで笑顔になってしまうので,オススメだ.
マイルスは最悪なやつでよくわからん演奏もしていたが,最後までみんなに愛されて死んだようだ.


Bill Evans "You Must Believe in Spring"

言わずと知れた不幸な人ビル・エヴァンスのみるからに幸薄そうなアルバム.
生き地獄みたいな体調のときでも,これを聴くとすんなり眠れる.
とにかく暗くてダークで気持ちがいい.どんどん沈んでいくことで癒される.
このアルバムのダブルベースの音どうやって録ったんだろうか.


Toninho Horta "Serenade"

ブラジルの二大Tomのうちのもうひとりトニーニョのソウルでのライブアルバム.
韓国はブラジル音楽好きが多いらしい.
トニーニョの弾き語りなので,彼のミナスサウンドを最もシンプルに味わうことができる.
浮遊感のある和声とか言われるけど,まぁそんな感じ.
こういうシンプルなミナスサウンド盤は意外と少ないので,もっと増えてほしい.
トニーニョのモゴモゴ歌う声も眠りを妨げない
中盤で曲の終わりに突如アンニョンハセヨと挨拶するのは謎


ベルイマン映画にでてくる曲の寄せ集め

別に誰が演奏していてもいいのだけど,ベルイマン映画の挿入曲を演奏してるアルバム.
バッハ多め.
映画は音楽が少なければ少ないほどいいし,挿入曲を使うならバッハくらいにしとくのが正解.
曲を聴きながら,ベルイマン作品の主題である,神の不在や無の支配を思い出して沈んでいくと気持ちよく眠れる.


Noël Akchotéによる任意のカバー曲アルバム

Noël Akchotéはふにゃふにゃした演奏をするギタリストで,とにかく作品のリリース数が多い.
年に数十枚はカバーアルバムをサブスクに登録しているが,大して儲からないだろうにどこから費用を捻出しているのか.
実験音楽よりの作品はちょっと疲れるので,バロックとかのカバーアルバムを聴くといい.
慣れるまではどこが戦慄の頭なのかわからない人もいるかもしれないが,それで問題ない
ぐちゃぐちゃにした旋律を聴くと身体から緊張が抜けて心地がいい.
眠るとき以外では都会の散歩にも意外と使える.


Bill Frisellの任意のアルバム

この人もふにゃふにゃ系ギタリストだが,たまに正気に戻って歪ませた音を弾き始める.
歪ませた音はあまり心地よくないので注意.そしてどのアルバムが一番いいかはまだ未決である
ふにゃふにゃ系の演奏に加えて,やたらと空間系のエフェクターにも凝っている.
私のお気に入りは,リバースエフェクターでふにゃふにゃを逆再生するやつ.脱力する.
意外と著名なミュージシャンであることを後で知って驚いた.

以上