*この文章はInstagramに投稿する予定だったが自主規制した
イングマール・ベルイマンの映画を半年くらいかけてずっと観ている.人気のあるのは60年代までの作品で,「神の不在」というタームやらニヒリズムの作風だ.いちいち主人公が絶望して「人生に意味はない」とか抽象的なこと言い始めるのが面白い.辛気臭くて笑える.
ベルイマンのいたスウェーデンのことをほとんど知らないのでぼちぼち調べている.スウェーデン語の特徴は面白いけど,文化や芸術面では特に面白いものはない. 料理は全然美味しくなさそうで,IKEAの食堂の食事みたいなものを普段から食べているようだ.ザリガニとかジャムのかかった肉団子とか.EU加盟以前は売っている野菜も少なかったようだ.ベルイマン作品を観ていてもわかる通り,畑をつくるにも石だらけで苦労するようだ.厳しい食糧事情であっただろう. スウェーデンの政治史はドイツとロシアの大国に挟まれているので面白い.結果はともかくWW2の頃から中立路線をとろうと頑張ってきた歴史がある.しかし今回のアレでNATOに加盟するらしい.フィンランドも一緒に. 写真の人はジャベリンの砲口をこっちに向けているが,武器を他人に向けて怒られないのだろうか.
ところでスウェーデン人は,メロディがわかりやすい音楽を好むらしい.スウェーデンぽい音楽としてABBAが代表例として挙げられていた.なるほどベルイマンもショパンやバッハのわかりやすい曲を好む.そしていわゆる北欧メタルも,ブルーズ系統のものと比べて,わかりやすいというかポップな傾向がある,らしい…. 私はそもそもHR/HMが好きでないが,大抵のポピュラー音楽好きはHR/HMが好きなので,話が合わないことが多い. 二年ほど前に友人のギターを選びにお茶の水のギター屋に入った.HR/HMが掛かる店内にいかにもHR/HMが好きそうな客や店員が集まっていて居心地が悪い.なんとか店員との会話の糸口を探そうとギターの〇〇(任意のギタリスト)モデルとはいったいどういう意味があるのかと質問してみた.店員曰く,ギターの傷の位置が再現されているらしい.どうやらファンにはそれだけで付加価値がつくらしく,野暮なことを聴いてしまったようだ.わかる人にだけわかればいい世界のようだ. しかしいつもの質問癖で「ということは外見に価値があるだけで,機能的な意味はないのか」と訊いたところ.これが2個目の地雷だった. 店員は呆れながらこれならわかるでしょうと新たなギターを出してくれた.だが私には見ただけではわからない.既に訊けないピリついた雰囲気になっていたが,やけくそで誰のモデルなのか訊いた. 曰く,指板が削り込んであるモデルはイングウェイのモデルなのは一目瞭然の常識だそうだ.高速で運指がしやすいように指板が削り込んであるらしい.しかしこの情報を得るためにも「何で削ってあるのか」とか「でもストラトキャスターは指板が山なりに反っているのに抑えやすいじゃないか」とか野暮な発言を連発して地雷をさらに踏みまくってしまった.あれ以来私はお茶の水の楽器屋は出禁になっているんじゃないかと思う. 私からすればイングウェイといえばダサいアルバムジャケットの超絶技巧のひとという知識しかない.巧いけど美的なセンスはないと思う.そうじゃなきゃトルコ行進曲をライブで演奏しないだろう. だがイングウェイがスウェーデン人であることを先ほど知って腑に落ちた. …これ以上書くと流石に問題があるのでやめておく.
スウェーデンを調べて分かったのは,好きになれない地域というのはいくら調べても好きになれないものだということだ.スウェーデンは私の趣味に合わない. ブラジルとは違って福祉や教育が充実しているからこそ,暴力や死が日常にない. 人間が幸せそうで,計画的に生きていて,刹那主義や哀愁とはほど遠い.だから面白くない.
以上